並行営業は候補者と案件の組み合わせで管理する

一人の技術者を複数案件へ提案したら、候補者と案件の組み合わせを一行にし、本人の意思と選考の進捗を分けて管理します。

並行営業では、候補者ID×案件IDを一行にし、候補者本人の意思、顧客側の選考状況、BPへの連絡状況、回答期限とその根拠、次の対応、条件変更を別の欄へ記録します。期限は一律の日数で作らず、相手の回答、面談予定、本人の都合など根拠を添えます。

候補者の状態と各案件の状態を混ぜないことが、並行営業の確認漏れを防ぐ基本です。

この記事では、一件の返事待ちではなく、複数の同時選考が技術者本人の選択と予定に影響する場面だけを扱います。

候補者単位のステータスでは選考の競合が見えない

候補者を「提案中」とだけ記録すると、どの案件が面談待ちで、どの案件に回答期限があり、本人がどれを優先しているか分かりません。

案件単位の一覧だけでも、同じ技術者がほかの案件で決定間近であることを見落とします。

同じ候補者でも案件ごとに進み方が違う

案件Aは面談結果待ち、案件Bは日程調整中、案件Cは条件確認中というように、選考状態は組み合わせごとに変わります。

候補者全体を一つのステータスへ上書きすると、個別の次アクションが消えてしまいます。

本人の希望と顧客の評価は別の情報になる

顧客が選考を進めたい状態でも、技術者本人が勤務地や開始日を理由に優先度を下げている場合があります。

顧客側の進捗を本人の承諾とみなすことは避けてください。

回答待ちだけでは期限の理由が分からない

「回答待ち」と記録しても、誰が何をいつまでに答えるのかがなければ催促や判断ができません。

一件ごとの返事待ちを整理する基本は、次の記事で解説しています。

SES営業の返信待ち管理|催促メールのタイミングと例文

一行に候補者と案件の組み合わせを置く

管理表の一行は「候補者ID×案件ID」とし、同じ候補者を案件ごとに別行で記録します。

候補者名や案件名だけで照合せず、更新時に別の行を上書きしない識別子を使います。

基本情報と選考情報を分ける

候補者の所属、スキル、希望条件は候補者情報に残し、面談日時や選考結果は組み合わせの行へ置きます。

案件の単価、勤務地、必須条件も案件情報を正本とし、組み合わせの行には提案時点の条件と差分だけを記録します。

並行営業の管理項目をそろえる

次の項目を分けると、本人確認と提案先への連絡を同じ状態欄へ押し込まずに済みます。

管理項目 記録する内容
候補者×案件 候補者ID、案件ID、提案日
候補者本人の意思 継続希望、辞退希望、確認中、希望順位、確認日時
顧客側進捗 書類確認、面談調整、面談済み、結果待ち、条件提示
BP連絡状況 最終連絡日時、連絡先、回答内容、次回連絡
回答期限 日時、期限の根拠、設定者、変更履歴
次アクション 誰が、誰へ、何を、いつ行うか
条件更新 単価、開始日、勤務地などの変更と本人確認
close状態 決定、辞退、保留、close日時、理由

一つのセルには一つの判断を置き、自由記述の長いメモだけで管理しないようにします。

状態は本人と顧客とBPで分ける

並行営業の状態は、候補者本人、顧客、BPの三者で分けて記録します。

一者の回答が進んでも、ほかの確認が終わっているとは限りません。

候補者本人の意思を記録する

本人の欄には、選考継続の意思、希望順位、面談可能日時、回答できる時期を記録します。

希望順位を記録する場合は、確認日時と前提条件も添えてください。

顧客側の選考進捗を記録する

顧客側は、書類確認、面談調整、面談結果、条件提示など、現在の段階を記録します。

「前向き」のような評価語だけでなく、次に必要な判断や日程を残します。

BPとの連絡状況を記録する

BP欄には、最後に連絡した日時、回答した担当者、次に確認する項目を記録します。

顧客側の進捗をBP経由で聞いた場合は、顧客の直接回答のように書き換えず、情報源を残します。

回答期限は根拠と一緒に設定する

回答期限は「提案から三日後」のような一律ルールではなく、その選考で誰が何を判断する期限かを根拠に設定します。

同じ案件でも、面談日や条件提示日が変われば期限を見直します。

期限を作る根拠を確認する

期限の根拠には、顧客から示された選考期限、BPからの回答予定、技術者本人が回答できる日時、ほかの案件の条件提示期限があります。

根拠がない場合は架空の日付を置かず、次回確認日時として管理します。

期限を変更した履歴を残す

回答予定が延びたら、旧期限、変更後の期限、変更理由、回答者を記録します。

期限を新しい日付で上書きするだけでは、遅延なのか合意した変更なのか判断できません。

複数の期限が重なるときは本人へ確認する

条件提示への回答と別案件の面談が重なる場合は、本人に現状と希望を確認します。

営業担当だけで希望順位を推測し、選考先へ辞退を伝えないでください。

候補者本人への確認は一覧を示して聞く

本人への確認では、選考中の案件、現在の段階、次の予定を一覧で示し、継続意思と希望順を聞きます。

会社名や顧客情報は、本人へ開示できる範囲だけを使ってください。

件名:選考中案件の状況確認|[候補者名]

[候補者名]様

お世話になっております。
現在ご提案中の案件について、状況と今後の予定を共有します。

・案件A:[選考段階]/次の予定:[日時・内容]
・案件B:[選考段階]/次の予定:[日時・内容]
・案件C:[選考段階]/確認中:[項目]

次の点を[回答をお願いしたい日時とその理由]までにお知らせください。
・各案件の選考を継続するご意向
・現時点の希望順と判断条件
・面談または回答が可能な日時

条件や予定が変わった案件があれば、あわせてお知らせください。
よろしくお願いいたします。

[署名]

面談日時の調整方法は、次の記事で確認できます。

SES面談の日程調整メール例文|候補者・顧客への書き方

提案先には事実と次回連絡予定を伝える

提案先への共有は、他案件の企業名や条件を明かさず、候補者の選考状況と回答できる予定を必要な範囲で伝えます。

急がせる目的で、決定していない他社オファーをあるように伝えてはいけません。

件名:[候補者ID]の選考状況について|[案件ID]

[BP企業名]
[担当者名]様

お世話になっております。
[案件ID]へご提案中の[候補者ID]について、現在も選考継続を希望しています。

本人はほかの選考も進んでおり、[面談予定・回答予定など共有可能な事実]があります。
本案件の今後の選考予定と、結果をご連絡いただける目安を確認できますでしょうか。

当方からは[本人への確認後に連絡できる日時]までに、継続意思と日程を改めてご連絡します。
条件変更がある場合は、判断前にお知らせください。

よろしくお願いいたします。

[署名]

伝えるのは競争をあおる情報ではなく判断予定です。

条件変更は選考状態と分けて再確認する

単価、開始日、勤務地、出社頻度が変わったら、選考を継続中のままでも本人の意思を再確認します。

条件変更を進捗欄のメモだけに残さず、変更前後と適用日を記録してください。

本人の希望順位を更新する

条件変更後は、本人が継続を希望するか、希望順位が変わるかを確認します。

以前の意思確認をそのまま有効と扱わず、確認日時を更新します。

提案先の回答期限も更新する

条件変更への回答に時間が必要なら、提案先へいつ回答できるかを伝えます。

変更内容をBPへ正確に伝える方法は、次の記事で解説しています。

SES営業の案件条件変更メール例文|単価・勤務地・開始時期を正確に伝える書き方

決定と辞退と保留のclose条件を決める

管理行を閉じるときは、最終連絡と記録が済んだ状態をclose条件にします。

単にステータスを変更するだけでは、本人や提案先への連絡漏れが残ります。

close状態 close条件
決定 本人の承諾、案件側の受入確認、開始条件の確認、他選考への連絡方針が確定
辞退 辞退主体と理由を記録し、本人と提案先の必要な相手へ連絡済み
保留 保留理由、再確認条件、再確認日、担当者を記録済み

決定時はほかの選考を自動で辞退にしない

一件が決定しても、開始条件や本人の最終承諾がそろう前にほかの選考を閉じないでください。

本人と確認したうえで、各提案先へ個別に連絡します。

辞退時は誰の判断かを残す

本人辞退、顧客見送り、募集終了では、次回提案で見直す内容が異なります。

「辞退」だけで閉じず、判断主体、理由、連絡日時を記録します。

保留には再開条件を付ける

保留は放置ではなく、募集再開、本人回答、条件確定など、次に確認する条件を伴う状態です。

再開条件がなく追跡しない行は、終了理由を確認してcloseします。

毎日の確認順を固定する

並行営業の確認は、期限が近い行、条件が変わった行、本人確認が必要な行の順に行います。

すべての提案を同じ頻度で見直すより、判断が競合する組み合わせを先に確認します。

  1. 当日と翌営業日に回答期限がある行を確認する
  2. 面談や条件提示を受けた行を確認する
  3. 同じ候補者の全案件を横並びで見る
  4. 本人の意思確認が古い行を更新する
  5. BPへの次回連絡日時を確認する
  6. close条件を満たした行を閉じる

候補者をどの案件から提案するか整理する方法は、次の記事で説明しています。

SES営業の提案優先順位|候補者と案件を選ぶ判断基準

まとめ

並行営業は候補者単位や案件単位だけで管理せず、候補者ID×案件IDを一行にします。

候補者本人の意思、顧客側進捗、BP連絡、期限と根拠、次の対応、条件変更を分けて記録し、一律の回答日数は設けません。

決定、辞退、保留は、必要な確認と連絡を終え、理由と日時を残した時点でcloseしてください。

参照リンク

Qoala公式サイト — マッチした案件・人材の組み合わせを保存して社内共有し、誰がいつどのような提案をしたかを含めて提案状況を管理する機能が紹介されています。

これは候補者と案件の組み合わせごとに提案状況を残す業務機能の一例です。

本記事で扱う本人意思、回答期限、close条件の具体的な運用を同サービスがすべて保証するという意味ではありません。

よくある質問

希望順位を提案先へそのまま伝えてよいですか?

本人の希望順位をそのまま外部へ共有する前に、本人へ共有範囲を確認してください。

提案先には、選考継続の意思、回答できる予定、日程上の制約など、相手の選考判断に必要な事実を伝えます。

ほかの案件名、企業名、条件は必要がなければ開示しません。

希望順位は面談結果や条件変更で変わるため、確認日時を添え、以前の回答を固定的に使わないようにします。

提案先が回答時期を知る必要がある場合は、順位ではなく、本人へ再確認できる日時と自社から次に連絡する予定を伝えてください。

回答期限を過ぎたら自動で辞退にしてよいですか?

自動で辞退にせず、期限の根拠、最後の連絡、本人と提案先の現在状態を確認します。

相手から延長連絡があれば新しい期限と理由を記録し、連絡がない場合は確認期限を設けて催促します。

辞退にする場合は、誰の判断かを記録して必要な相手へ連絡してください。

期限の根拠が本人の回答予定、顧客の選考予定、別案件の条件提示のどれかによって、確認先は変わります。

一律に同じ日数を延ばすのではなく、誰がいつ回答できるかを聞き、旧期限、変更後の期限、変更理由、回答者を残します。

一件が決定したらほかの選考はいつ閉じますか?

本人の最終承諾と案件側の受入条件を確認し、本人とほかの選考を辞退する方針を合意してから閉じます。

各提案先へ連絡し、辞退理由と連絡日時を行ごとに記録します。

条件確認中の決定を理由に、営業担当だけで他行を一括して辞退へ変更しないでください。

開始日、勤務条件、単価などが未確定なら、決定行自体も確認中の項目を残します。

本人が比較のためにほかの選考継続を希望する場合は、回答期限と連絡方針を再確認し、各案件の行を個別に更新してください。