SES営業支援費は業務と対価を個別に定める
SESの営業支援費とは、商流調整などに伴う支援業務と対価を当事者間で定める費用の呼び方です。
業界の記事では、商流から外れる企業に対する謝礼や紹介料という意味で説明される場合があります。
しかし「営業支援費」という名称だけで、支払いの目的や妥当性が決まるわけではありません。
実際の支援業務と対価を対応させることが契約前の基本です。
この記事では一般的な営業研修費や営業ツールの料金には広げず、SESの商流調整で営業担当の方が確認する仕組み、算定方法、契約条件を整理します。
営業支援費という名称だけでは内容が決まらない
営業支援費には統一された法的定義や公的な相場がなく、名称だけでは業務内容も支払条件も判断できません。
請求の根拠となる業務と契約関係を先に確認する必要があります。
商流から外れることと業務提供を分ける
ある企業が従来の商流から外れることと、その企業が紹介、調整、契約後の連絡などを継続することは別の事実です。
商流変更後も業務を依頼するなら、担当範囲、成果物、連絡頻度、終了条件を具体化します。
名目だけの請求を前提にしない
支援業務が示されないまま「従来の商流にいたから」という理由だけで費用を設定すると、請求の根拠を社内外へ説明しにくくなります。
名目だけで支払いを正当化しないで、実施する業務、記録、責任範囲を確認してください。
商流に登場する各社の呼び方は、次の記事で整理しています。
営業支援費の仕組みは三者の役割から整理する
仕組みを明確にするには、支援を依頼する企業、支援業務を行う企業、案件または人材に関する契約当事者を分けます。
誰が誰へ何を提供するかを図にすると、商流と費用の関係を確認しやすくなります。
[支援を依頼する企業]
│ 支援業務を依頼
▼
[支援業務を行う企業]
│ 営業支援費を請求
▲
│
[案件・人材に関する契約当事者]
この図は関係整理の例であり、実際の契約当事者や請求方向を定めるものではありません。
具体的な支援業務を列挙する
候補先の紹介、初回面談の調整、案件情報の更新、契約更新時の連絡など、実施する業務を動詞で書きます。
「営業支援一式」だけでは、完了条件や未実施時の扱いが曖昧です。
支援業務の実施記録を決める
メール、面談記録、月次報告など、業務を実施したことを双方が確認する方法を決めます。
記録の形式と提出時期は、費用の発生条件や請求時期と対応させてください。
営業支援費の相場は一律に示せない
SES営業支援費について公的な相場統計を確認できないため、固定の割合や金額を標準として示すことはできません。
支援業務の範囲、期間、責任、必要な工数を基に算定根拠を作り、当事者間で金額を定めます。
インターネット上で見かける割合を、そのまま自社契約の基準にしないでください。
業務内容から算定根拠を作ると、金額だけを先に交渉する状態を避けられます。
比較時は条件をそろえる
別の契約と比べる場合は、紹介だけか継続支援を含むか、費用が発生する期間はいつまでか、途中終了時に減額するかをそろえます。
金額が同じでも業務範囲が異なれば、単純には比較できません。
固定額と割合と一時金の算定方法を確認する
営業支援費の算定方法には固定額、基準額に対する割合、一時金などが考えられますが、どの方法も契約で基準と発生条件を定めます。
以下は書き方を示す架空例であり、実在契約や相場を示すものではありません。
| 算定方法 | 架空の契約表記例 | 主な確認事項 |
|---|---|---|
| 固定額 | 月額 [営業支援費] |
対象月、日割り、未実施時の扱い |
| 割合 | [算定基準額] × [契約で定める割合] |
算定基準額、税の扱い、上限、端数 |
| 一時金 | 条件成立時に [一時金額] |
成立条件、支払回数、取消時の扱い |
固定額は対象期間を決める
固定額では、月単位か契約期間全体か、月途中の開始・終了をどう扱うかを定めます。
支援業務が実施されなかった期間にも費用が発生するかを曖昧にしません。
割合は算定基準額を定義する
割合方式では、何の金額へ割合を掛けるのかを文書で定義します。
営業支援費 = [算定基準額] × [契約で定める割合]
税込額と税抜額のどちらを基準にするか、値引きや超過控除を反映する前後のどちらか、端数をどの段階で処理するかも確認します。
一時金は成立条件を定義する
一時金では、紹介時、契約締結時、稼働開始時など、どの事実をもって費用が発生するかを決めます。
開始前の取消や早期終了が起きた場合の返金、減額、再請求も契約へ記載します。
契約書で営業支援費の条件を具体化する
契約書では、目的と業務だけでなく、算定式、税の扱い、請求、終了、秘密保持、商流制限との関係まで整理します。
営業担当の方が口頭の説明を契約文言へ置き換え、法務・経理と照合してください。
| 確認項目 | 契約書へ整理する内容 |
|---|---|
| 目的 | 商流調整後に支援を依頼する理由 |
| 具体的業務 | 紹介、調整、情報更新、報告などの担当範囲 |
| 金額・算定式 | 固定額、割合、一時金と算定基準 |
| 税の扱い | 税込・税抜と端数処理 |
| 支払期間 | 費用が発生する開始日と終了日 |
| 支払期日 | 請求締めと支払日 |
| 更新・終了 | 自動更新の有無、終了通知、途中離脱 |
| 返金・減額 | 未実施、取消、早期終了時の扱い |
| 請求書 | 記載事項、送付方法、請求先 |
| 秘密保持 | 共有できる案件・人材情報と目的 |
| 商流条件 | 直接取引や商流制限との関係 |
| 適用法令 | 当事者属性と取引内容に応じた確認 |
目的と業務と金額を対応させる
契約の目的、実施する業務、費用の算定根拠を別々に書き、相互の対応を確認します。
紹介で完了するのか、契約後の調整まで続くのかによって期間と記録方法も変わります。
終了時の扱いを先に決める
支援契約の途中終了、案件終了、担当者変更、商流の再変更があった場合の費用を定めます。
開始条件と終了条件を対で書くことが、費用だけ残る状態を防ぐ基本です。
直接取引と商流制限を照合する
営業支援契約を結ぶことと、元の契約にある直接取引や商流制限が消えることは同じではありません。
関連する基本契約、個別契約、秘密保持契約を照合し、矛盾があれば社内法務へ渡します。
商流変更時の確認方法は、次の記事で詳しく解説しています。
公的ルールは取引の適用条件から確認する
営業支援費の契約に関係する公的ルールは、当事者の属性、資本金や従業員の要件、委託内容などによって適用が変わります。
すべてのSES営業支援契約へ同じ制度が一律に適用されるとは限りません。
公正取引委員会は、取適法の対象取引について発注内容や代金額などの明示、支払期日の設定、取引記録の保存を案内しています。
また対象となるフリーランスへの業務委託では、業務内容、報酬額、支払期日などの取引条件を直ちに書面または電磁的方法で明示するよう案内されています。
これらは営業支援費の相場を定める制度ではありません。
対象になるかを営業担当の方だけで判断せず、契約書の作成時に法務担当や専門家へ相談してください。
請求書と契約書を分けて確認する
契約書で支払義務と算定方法を定めたうえで、請求書の記載事項を経理担当と確認します。
国税庁が案内する適格請求書の記載事項も参照し、税務上の個別判断は税理士へ相談してください。
契約名と現場の指揮命令を混同しない
営業支援という契約名を付けても、実際の業務運用が別の契約関係を示す場合は名称だけで判断できません。
誰が誰へ業務上の指示を出すかを含め、契約内容と実態を照合します。
東京労働局は、請負契約の形式を取りながら発注者と受託者の労働者の間に指揮命令関係がある場合、偽装請負となる旨を案内しています。
営業支援費を設けることは、案件で働くエンジニアへの指揮命令関係を変更したり、問題を解消したりするものではありません。
費用名で契約実態を置き換えないことが重要です。
契約形態と現場運用の確認項目は、次の記事を参照してください。
SES営業が確認すべき契約形態の違い|準委任・請負・派遣を比較
商流調整では関係者の合意範囲を確認する
商流調整では、誰が契約当事者として残り、誰が営業支援を担い、誰が案件や人材の情報を受け取れるかを確認します。
営業支援費だけを合意しても、元の商流や情報共有の条件が自動的に変わるわけではありません。
変更前後の関係図を作る
変更前と変更後の契約当事者、請求先、支払先、情報共有先を別々に書き出します。
案件契約と営業支援契約を線で分けると、費用と商流を混同しにくくなります。
情報共有の権限を確認する
案件情報や人材情報を支援業務で扱う場合は、秘密保持、共有目的、共有先、保存期間、自社の個人情報取扱規程を確認します。
過去に受け取った情報を、新しい契約関係へ当然に転用できるとは考えないでください。
新規BPとの役割や情報交換を整理する方法は、次の記事で確認できます。
Dot Linkは案件と人材情報の整理を支援する
Dot Linkは受信した営業メールから案件・人材情報を構造化し、検索、候補照合、マッチングを支援します。
商流、単価、スキル、稼働時期などを項目として整理することで、商流調整前後の案件情報を確認しやすくします。
一方で、営業支援費の算定、契約締結、法的判断、請求、勤怠管理は行いません。
情報整理と契約判断を分けることで、営業担当の方は支援業務と費用の確認を社内担当者へ正確に渡せます。
SES営業支援費は実際の業務から契約する
SES営業支援費は法令上統一された名称や相場ではなく、商流調整後に行う具体的な業務と対価を個別契約で定めるものです。
固定額、割合、一時金のいずれでも、算定基準、税の扱い、支払期間、終了条件、返金や減額、商流制限との関係を確認してください。
名称より実態を優先し、法令の適用、税務、指揮命令関係は社内法務・経理・労務や専門家へ相談します。
受信した案件・人材メールを整理し、契約確認に必要な商流や条件を探しやすくしたい場合はDot Linkを試せます。
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営業支援費の期間、業務実態、算定根拠に関する判断の進め方を整理します。
商流から外れた企業へ営業支援費を払い続けますか?
商流から外れたという事実だけで、支払いの継続や終了を判断しないでください。
営業支援契約に定めた業務が続いているか、費用の発生期間、更新、終了通知、案件終了との連動、途中離脱時の減額を確認します。
支援業務が終了したのに費用だけが続く場合や、契約上の終了条件と運用が一致しない場合は、営業担当の方だけで支払いを止めず、実施記録と契約書を社内法務・経理へ共有します。
相手方との変更合意が必要なら、適用日と変更後の金額を文書に残してください。
支援業務の実態が分からない請求書へどう対応しますか?
請求書の名称だけで支払処理を進めず、契約書、注文書、業務報告、算定明細を照合してください。
誰がいつ何を実施したか、どの契約条項で費用が発生したか、金額の計算が合っているかを確認します。
証跡が不足している場合は、支払拒否を営業担当の方が即断するのではなく、相手へ確認する項目を整理して社内法務・経理へ渡します。
税務上の処理や適格請求書の要件は、自社経理または税理士へ確認してください。
確認結果と対応日も記録します。
根拠のない割合を提案された場合はどうしますか?
割合の高低だけを交渉せず、算定基準額、対象業務、期間、責任、発生条件の説明を求めてください。
営業支援費には公的な統一相場を確認できないため、インターネット上の割合を標準として合意することは避けます。
割合方式を採用する場合は、税込・税抜、値引きや超過控除の反映、端数処理、上限、途中終了時の計算を文書化します。
条件の妥当性や法令の適用は、社内法務・経理または専門家と確認してから契約へ進めてください。
合意までの経緯も記録します。
参照リンク
営業支援費に関連する取引条件、請求、契約実態の確認には、次の公式情報を参照しました。
公正取引委員会「委託事業者の義務」 — 取適法の対象取引における発注内容、代金額、支払期日、記録保存などを確認できます。
公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」 — 対象となる業務委託で明示する業務内容、報酬額、支払期日などを確認できます。
国税庁「適格請求書等の記載事項」 — 適格請求書に必要な取引内容、対価、適用税率、消費税額などを確認できます。
東京労働局「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」 — 契約名称ではなく、発注者と受託者の労働者の間に指揮命令関係があるかを確認する注意点を参照できます。
