SES営業のKPIは営業フローに沿って管理する

SES営業のKPIは案件数と人材数を母数に、提案対象、提案、面談、成約までを同じ計測期間と母集団で追います。

SES営業のKPIは案件数と人材数を母数に、提案対象、提案、面談、成約までを同じ計測期間と母集団で追います。率だけでなく初回提案までの時間と未対応件数も確認すると、次に変える営業行動を特定できます。

KPIを増やすこと自体が目的ではありません。

どの段階で案件や人材が止まっているかを見つけ、次の営業行動を決めることがKPI管理の役割です。

この記事では、案件数、提案数、面談率、成約率などの定義と計算式をそろえ、コピペできる管理表と週次レビューの手順まで解説します。

売上だけでは改善する営業活動を特定できない

売上だけを見ても、案件不足、提案不足、面談への移行、面談後の成約のどこに課題があるかは分かりません。

結果が同じ売上未達でも、改善すべき行動は営業ステージによって異なります。

売上は複数の営業活動を通過した結果

売上は、案件と人材を集め、条件を確認し、提案し、面談を経て、契約へ進んだ結果として発生します。

売上だけでは、その前段階で十分な案件を受け取れていたか、提案できる組み合わせを作れていたかを切り分けられません。

営業ステージごとに件数と率を置くと、結果が生まれる前の変化を確認できます。

合計件数は停滞した場所を隠す

提案数が増えていても、特定の案件へ同じ候補を再送した回数が増えただけなら、新しい提案機会は増えていません。

案件数が増えていても、同じ案件の更新メールを新規案件として数えていれば、扱える案件の幅は広がっていません。

定義の異なる件数を合計すると、活動量が増えたように見えても改善箇所を判断できません

SES営業で起きやすい見落としや手作業などの課題全体は、次の記事で整理しています。

SES営業の悩みあるある|見落とし・属人化・手作業からどう抜け出すか

公的資料からKPI管理の役割を確認する

KPIは最終目標そのものではなく、目標へ向かう業務プロセスの進捗と改善箇所を確認するために使います。

公的資料でも、営業活動の件数や率を業務指標として置き、目標と実績の差から改善課題を考える方法が示されています。

中小企業庁が示す営業の業務指標

中小企業庁の「会計」の活かし方では、営業の主な業務指標の例として、引合件数、訪問件数、提案件数、見積件数、商談時間、契約率などが挙げられています。

同資料は、目標と実績の差を把握し、改善のための課題を設定する考え方も示しています。

SES営業では、この考え方を案件受信、提案対象の選定、提案、面談、成約という自社の流れへ置き換えます。

中小企業庁「会計」の活かし方 — 営業の業務指標例と目標・実績の差を改善へつなげる考え方を確認できます。

自社の事業環境を踏まえて指標を決める

2022年版中小企業白書は、経営戦略の策定に際して外部環境と内部環境を分析し、自社の状況を把握する重要性を説明しています。

そのためKPIの定義や目標は、根拠のない業界平均ではなく、自社の商流、得意領域、案件と人材の構成、営業体制に合わせて決めます。

資料に日次管理の例があっても、すべてのSES企業が日次で全指標を更新すべきとは断定できません。

営業行動を変えられる周期で計測し、同じ条件で比較できることを優先します。

中小企業庁「2022年版中小企業白書」 — 経営戦略に向けて自社の外部環境と内部環境を分析する考え方を確認できます。

SES営業フローとKPIを対応させる

KPIは案件と人材の獲得、提案対象の作成、提案、面談、成約という営業フローへ一つずつ対応させます。

各指標に次の行動を結び付けると、数値の報告だけで終わりません。

案件受信 ─┐
          ├→ 提案対象の案件・人材ペア → 提案 → 面談 → 成約
人材受信 ─┘
                │
                └→ 未対応件数と初回提案リードタイムを確認
営業ステージ 主なKPI 数値から確認すること
案件と人材の獲得 ユニーク案件数、ユニーク人材数 提案を検討できる母数があるか
提案対象の作成 提案対象ペア数、未判定件数 条件確認やマッチングが止まっていないか
提案 提案件数、案件カバー率 対象から提案へ進めているか
面談 面談件数、面談率 提案後に相手の検討へ進んでいるか
成約 成約件数、成約率 面談後の条件調整に課題がないか
対応速度 初回提案リードタイム、未対応件数 対応が滞留していないか

案件と人材を先に分ける

案件数は仕事の機会、人材数は提案候補の供給を表すため、同じ母数として足しません。

案件が増えても条件に合う人材がいなければ提案へ進まず、人材が増えても合う案件がなければ同じく停滞します。

案件側と人材側を別々に見たうえで、組み合わせた提案対象ペアを次のステージとして管理します。

ステージごとに次の行動を決める

案件数が足りなければBPとの情報交換や受信経路を確認し、提案対象ペアが少なければ商流、単価、スキルなどの条件を見直します。

提案後の面談率が下がっている場合は、提案文や相手への確認項目を振り返ります。

提案前のヒアリングと提案内容の整え方は、次の記事で詳しく扱っています。

SES営業のヒアリング・提案力を高める方法|情報が揃った状態から始める

SES営業のKPI一覧と計算式

KPI一覧では、指標名だけでなく、一件の定義、分子、分母、計測期間、確認する課題をセットで決めます。

特に率を比較するときは、同じ期間に発生した同じ母集団を使います。

KPI 定義 計算式 確認する課題
ユニーク案件数 重複を除いた案件entityの数 異なる案件IDの数 提案元となる案件母数が足りるか
ユニーク人材数 重複を除いた人材entityの数 異なる人材IDの数 提案候補となる人材母数が足りるか
提案対象案件数 提案を検討する案件・人材ペアの数 異なる案件IDと人材IDの組み合わせ数 条件照合まで進んでいるか
提案件数 実際に提案した案件・人材ペアの数 提案済みとなった異なるペア数 対象を提案へ移せているか
提案率 提案対象から提案へ進んだ割合 提案件数 ÷ 提案対象案件数 提案判断や情報確認が止まっていないか
面談件数 面談へ進んだ提案ペアの数 面談へ進んだ異なる提案ペア数 提案内容が相手の検討へ進んだか
面談率 提案から面談へ進んだ割合 面談件数 ÷ 提案件数 提案条件や伝え方に課題がないか
成約件数 契約へ進んだ提案ペアの数 成約した異なる提案ペア数 面談後に契約まで進んだか
成約率 面談から成約へ進んだ割合 成約件数 ÷ 面談件数 面談後の条件調整に課題がないか
初回提案リードタイム 案件受信から最初の提案までの時間 初回提案日時 − 案件受信日時 初動が滞っていないか
未対応件数 定めた確認時点で次の行動がない件数 未対応ステータスのentityまたはペア数 受信や確認が止まっていないか

分母がゼロの期間は率をゼロと記録せず、算出対象外として区別します。

ゼロと算出対象外では、実績がなかったのか、比較する母集団がなかったのかが異なるためです。

案件側と人材側の母数KPIをそろえる

母数KPIでは、同じ情報の再送や更新を除いたユニーク案件数とユニーク人材数を管理します。

受信メール数は処理量を見るevent指標として別に残し、案件entityや人材entityの数と混ぜません。

ユニーク案件数を定義する

ユニーク案件数は、同一案件の更新メールや別経路から届いた重複情報をまとめた後の案件数です。

案件名だけでは表記が変わるため、送信元、案件内容、稼働条件など自社で照合できる項目を使い、同一案件と判断した記録を残します。

受信メール数をそのまま案件数にすると、再送が多い期間ほど案件母数が増えたように見えます

ユニーク人材数を定義する

ユニーク人材数も、同じ人材の経歴更新や複数メールを一つの人材entityへまとめた数です。

個人情報を集計表へ広く複製せず、社内で管理する人材IDを使って件数を数えます。

稼働開始や希望条件が変わった場合は同じ人材の属性更新として扱い、新しい人材entityにしないルールを決めます。

受信イベントを別に数える

受信メール数、案件更新回数、人材更新回数は、情報処理の負荷を確認するevent指標です。

これらはユニーク案件数やユニーク人材数と並べて表示しても、合算しません。

entityは営業機会の広がり、eventは処理負荷として役割を分けます。

BP開拓後に受信する案件・人材情報を整理する考え方は、次の記事でも紹介しています。

SESのBP開拓方法|新規パートナーの探し方とメール例文

提案率と面談率と成約率の分母を固定する

提案率、面談率、成約率は、同じ計測期間に提案対象となった案件・人材ペアを追跡して計算します。

月をまたいで進んだペアは、途中の件数を別の母集団へ付け替えず、最初に属したコホートで追います。

提案率は提案対象ペアを分母にする

本記事では、提案率を次の式で統一します。

提案率 = 提案件数 ÷ 提案対象案件数

ここで提案対象案件数と提案件数は、どちらも案件・人材ペアの数です。

同じ案件へ複数人を提案する場合は、候補者ごとに異なるペアとして数えます。

同じペアの提案文を再送または更新しても提案件数は増やさず、提案送信回数というevent指標へ記録します。

面談率は提案ペアを分母にする

面談率は、提案済みの案件・人材ペアのうち面談へ進んだ割合です。

面談率 = 面談件数 ÷ 提案件数

同じ提案ペアで面談が複数回行われても、面談件数は一つとして数えます。

面談の回数自体を見たい場合は面談実施回数として別に持ち、面談率の分子へ重複加算しません。

成約率は面談ペアを分母にする

成約率は、面談へ進んだ案件・人材ペアのうち成約した割合です。

成約率 = 成約件数 ÷ 面談件数

この記事では成約率の分母を面談件数に統一し、提案件数を分母にした別の率と混ぜません。

率の名称より、分子と分母の定義を管理表に明記することが比較の前提です。

初回提案リードタイムと未対応件数を確認する

結果の率だけでなく、案件受信から初回提案までの時間と、次の行動が決まっていない未対応件数を確認します。

これらは提案や面談に至る前の停滞を見つける指標です。

初回提案リードタイムを定義する

初回提案リードタイムは次の式で計算します。

初回提案リードタイム = 初回提案日時 − 案件受信日時

案件受信日時は、自社が最初にその案件情報を受信した日時へ統一します。

同じ案件の更新メールを受け取っても開始時点を更新せず、条件が変わって別案件として扱う場合だけ新しい案件IDを付けます。

提案がない案件はリードタイムを空欄のまま平均へ入れず、未対応または見送りとして理由を分けます。

未対応件数は状態と経過時間を分ける

未対応件数は、受信後に確認、提案、見送りなどの次の状態が付いていない案件entityや提案対象ペアの数です。

「未対応」の定義には、対象ステージと確認時点を必ず含めます。

たとえば受信未確認、条件確認待ち、提案判断待ちは別の状態として集計し、一つの未対応件数だけで原因を決めません。

未対応件数には担当者と次の行動をひも付けると、レビュー後の対応へ移せます。

見落としによる影響を金額で試算する方法は、KPI管理とは分けて次の記事で解説しています。

SES営業の見落としコストを試算する|1件逃す影響を数字で把握

KPI管理表の列をコピペして使う

管理表は、ID、計測期間、各ステージの日時、現在の状態、終了理由を分ければ、件数と率を同じ元データから集計できます。

次の列名を左から順に表計算シートの先頭行へ並べます。

計測期間 案件ID 人材ID 提案ID 案件受信日時 人材受信日時 提案対象判定日時 初回提案日時 面談決定日時 面談実施日時 成約日時 現在ステージ 未対応区分 終了理由 担当者 情報受信元 最終更新日時

列のまとまり 主な列 用途
entity識別 案件ID、人材ID、提案ID 重複を除き同じペアを追う
コホート 計測期間、案件受信日時 同じ母集団で率を計算する
ステージ日時 提案対象判定、初回提案、面談、成約 移行件数とリードタイムを集計する
状態 現在ステージ、未対応区分 停滞した場所を確認する
終了情報 終了理由 見送りや失注の理由を分ける
管理情報 担当者、情報受信元、最終更新日時 次の行動と更新状況を確認する

IDでentityとeventを分ける

案件IDと人材IDはentityを識別し、提案IDは案件・人材ペアを識別します。

提案メールの送信や更新の履歴も必要な場合は、この表と別にイベント日時、イベント種別、提案IDを持つ履歴表を作ります。

一つの行に最新値を上書きする管理表と、発生ごとに行を追加する履歴表を分けると、entity数とevent数を混同しません。

終了理由を選択式にする

終了理由は自由記述だけにせず、商流、単価、スキル、稼働時期、勤務地、相手都合、自社都合など自社で使う区分を決めます。

区分で集計した後に補足欄の原文を読み、具体的な改善行動を考えます。

未確定の理由を推測して埋めず、確認中と回答なしも別の状態として残します。

週次レビューで停滞箇所を特定する

週次レビューでは、同じ計測条件と母集団を固定し、前段階から順に件数と率を確認して、変える行動を一つ決めます。

数値の良し悪しを評価するだけでなく、次回までの担当者と確認方法を残します。

計測条件を先に確認する

最初に、対象期間、案件・人材ペアの作成条件、重複の扱い、ステージ更新の締め時点を確認します。

定義が変わった期間を過去とそのまま比較せず、変更日と変更内容を記録します。

母集団が違う数値の増減を営業成果として説明しないことが重要です。

前段階から順に差を探す

ユニーク案件数とユニーク人材数から始め、提案対象、提案、面談、成約の順に確認します。

前の段階が減っていれば、後段階の率だけを改善しても件数は増えにくいためです。

自社の過去期間と比べる場合も、同じ定義、同じ期間の長さ、同じステージ到達期限をそろえます。

改善行動と検証方法を一つ決める

停滞箇所が見つかったら、次回までに変える行動、担当者、確認するKPIを決めます。

提案対象が少ないなら条件の欠落確認を早める、提案から面談へ進まないなら提案理由と懸念点の書き方を見直すなど、ステージへ直接つながる行動を選びます。

一度に多くの施策を変えず、どの変更が数値へ影響したか追える状態にすると、次の判断に使えます。

Dot Linkで扱えるKPIの土台を整理する

Dot Linkは受信した案件・人材メールを構造化し、マッチングや検索を支援するため、案件と人材の母数や提案対象を確認する土台づくりに使えます。

一方でCRM全体の管理、営業メールの自動送信、成約率の改善保証を担うものではありません。

受信情報の構造化を支援する

Dot Linkは受信した案件・人材メールから、商流、単価、スキル、稼働時期、勤務地などを項目として整理します。

案件と人材が検索や比較に使える形になることで、提案対象ペアを検討する前段階を支援します。

KPI集計の前に案件と人材を同じ項目で扱える状態を作ることが、母数管理を続けるための基礎です。

営業判断と活動記録は自社で持つ

提案するかどうか、誰へ連絡するか、面談後にどの条件を調整するかは営業担当の方の判断です。

提案日時、面談日時、成約日時、失注理由などの営業活動記録も、自社で定義した管理表やCRMへ残します。

Dot Linkだけで営業KPI管理全体が完結するとは説明せず、受信情報の整理と営業活動の記録を分けて運用します。

KPIを営業の改善行動へつなげる

SES営業のKPI管理では、案件数、人材数、提案対象、提案、面談、成約を同じ母集団で追い、初回提案までの時間と未対応件数も確認します。

数値を並べるだけでなく、停滞したステージと次に変える行動を結び付けることが重要です。

まずは管理表の列をそろえ、案件・人材・提案ペアのIDと各ステージの日時を記録してください。

受信した案件・人材情報をKPI管理へ使いやすい形に整理したい場合は、Dot Linkでメールの構造化とマッチングを試せます。

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よくある質問

SES営業のKPI管理で迷いやすい提案の数え方、期間をまたぐ案件、提案が生まれない期間の見方を整理します。

同じSES案件に複数人を提案した場合はどう数えますか?

案件・人材の組み合わせごとに一つの提案ペアとして数えます。

同じ案件でも提案する人材が異なれば別の提案ペアになり、それぞれが面談や成約へ進んだかを追跡します。

一方で同じ案件・人材ペアの提案メールを再送した場合や、経歴書の差し替えだけを行った場合は、新しい提案件数へ加えません。

再送や更新は提案送信回数というevent指標へ分けると、営業機会の数と作業量を混同せずに管理できます。

社内では提案IDを案件IDと人材IDにひも付け、数え方を管理表の定義欄へ明記してください。

計測期間をまたぐSES案件はどの期間へ入れますか?

提案対象となった時点の計測期間へ入れ、その後の面談や成約も同じコホートで追います。

提案を受け付けた月、面談した月、成約した月へ同じペアを分けてしまうと、提案率、面談率、成約率の分母と分子が別の母集団になります。

活動量を月別に見る集計では面談実施日や成約日を使っても構いませんが、ステージ移行率の集計とは分けてください。

到達まで時間がかかる案件は、集計の締め時点で進行中として残し、十分な追跡期間を待ってから確定した率と比較します。

SES営業で提案が生まれない期間は何を確認しますか?

案件数と人材数を別々に確認し、その次に提案対象ペアが作られなかった理由を見ます。

案件だけが少ないのか、人材だけが少ないのか、商流、単価、スキル、稼働時期などの条件が合わないのかで、次の行動は変わります。

提案対象案件数がゼロなら提案率をゼロとせず算出対象外と記録し、母集団がなかった事実を残してください。

情報不足で判定できなかったペアは未判定として分け、相手への確認やデータ更新を次の行動へ設定すると、件数の報告から改善へ進められます。

参照リンク

本文では、営業プロセスの業務指標と自社環境に基づく経営管理の考え方について、次の公式資料を確認しました。

中小企業庁「会計」の活かし方 — 引合件数、訪問件数、提案件数、見積件数、商談時間、契約率などの営業指標例を確認した資料です。

中小企業庁「2022年版中小企業白書」第2部第2章第3節 — 経営戦略に向けた外部環境と内部環境の分析に関する公式資料です。