SES案件票は判断項目を同じ順序で記載する

SES案件票は、案件概要・業務内容・必須スキル・尚可スキル・担当工程・商流・契約形態・単価・精算幅・勤務地・開始時期・募集人数・面談・制限・連絡期限を同じ順序で記載します。

SES案件票は、案件概要・業務内容・必須スキル・尚可スキル・担当工程・商流・契約形態・単価・精算幅・勤務地・開始時期・募集人数・面談・制限・連絡期限を同じ順序で記載します。未確定項目は空欄にせず、確認中・応相談・不明を使い分けます。

案件票の目的は、項目を埋めることではありません。

受け取った営業担当の方が提案可否と追加確認の必要性を判断できる状態にすることが目的です。

この記事では、項目一覧、コピペ用テンプレート、架空の記入例、更新時の管理方法までを扱います。

案件票と案件メールの役割を分ける

案件票は情報を保持して再利用するための元データで、案件メールは相手へ連絡して返信を依頼する文面です。

同じ案件情報を使っても、記録と連絡では必要な項目が異なります。

案件票は情報を更新する元データ

案件票には、案件の内容、技術条件、取引条件、稼働条件、募集状況を項目ごとに残します。

条件が更新されたときは案件票を直し、どの情報が現在の状態かを確認できるようにします。

社内レビュー、候補者との照合、取引先へ送る文面の作成で同じ情報を使えることが案件票の役割です。

案件メールは相手へ送る連絡文

案件メールには、案件票の情報に件名、あいさつ、送信目的、返信してほしい内容、返信期限を加えます。

案件票の全項目をそのまま貼るのではなく、送信相手が提案判断に使う情報を選びます。

案件メールの件名と本文を整える方法は、次の記事で詳しく解説しています。

SES案件メールの書き方|商流・単価・精算幅を伝えるテンプレート

項目不足は確認の往復と提案判断を遅らせる

案件票の項目が不足すると、営業担当の方は提案できるか判断する前に、情報の所在確認と問い合わせを繰り返すことになります。

文章量が多くても、判断に必要な項目と現在の状態が分からなければ案件票として再利用しにくくなります。

条件が自由文に埋もれる

業務内容の文章に商流、単価、勤務地、開始時期が混ざると、候補者との照合時に条件を拾い直す必要があります。

別の営業担当へ引き継いだときも、どの一文を確定条件として扱うか判断が分かれます。

重要条件が自由文だけにある状態では、確認する人ごとに読み方が変わります。

空欄の意味が分からない

空欄は、条件が存在しない、まだ確認していない、回答待ち、記載漏れのどれかを区別できません。

未確定でも項目を削らず、項目の状態を明記すると、営業担当の方は追加確認が必要な箇所を見分けられます。

更新前の条件が残る

案件票を複製して使うと、過去案件の勤務地や単価などが残ることがあります。

更新日と募集状態がなければ、受け取った側は現在も提案できる案件か判断できません。

項目の網羅だけでなく情報の新しさを確認することが必要です。

役割とスキルを対応させて記載する

案件票のスキル欄は技術名の一覧にせず、募集する役割、担当業務、工程、必要な経験を対応させて記載します。

この書き方なら、営業担当の方が候補者の経歴と同じ単位で比較できます。

公的なスキル標準から整理方法を学ぶ

IPAのデジタルスキル標準は、DXを推進する人材の役割と習得すべきスキルを整理しています。

これはSES案件票の標準ではありませんが、役割と必要なスキルを対応させる考え方の参考になります。

案件票でも「開発担当」のような広い表現だけでなく、担当する業務と必要な技術を同じ欄のまとまりとして示します。

IPA「デジタルスキル標準(DSS)策定の背景・目的」 — 人材の役割と習得すべきスキルを整理する公式枠組みを確認できます。

必須スキルと尚可スキルを分ける

必須スキルは提案判断に欠かせない条件、尚可スキルは満たさなくても提案を検討できる条件として分けます。

両方を一つの箇条書きにすると、営業担当の方は何を満たせば提案できるか確認し直す必要があります。

必須と尚可の境界を案件担当へ確認することで、候補者を過度に除外する判断も防げます。

技術名に工程と経験内容を加える

「Java」のような技術名だけでは、開発、改修、テスト、運用のどの経験を求めているか分かりません。

「Javaを使ったWeb APIの設計・実装経験」のように、技術、対象、工程、経験内容を組み合わせます。

経験年数を条件にする場合も、年数だけで判断せず、担当した業務と役割を一緒に確認します。

ヒアリングで曖昧な条件を確かめる方法は、次の記事で整理しています。

SES営業のヒアリング・提案力を高める方法|情報が揃った状態から始める

SES案件票の記載項目を一覧で確認する

案件票は、管理情報、案件内容、スキル、取引条件、稼働条件、選考条件の順に並べると確認しやすくなります。

未確定項目には空欄ではなく、現在の状態を記載します。

区分 項目 書く内容 未確定時の表記
管理情報 案件ID 社内で案件を識別するID 採番前
管理情報 更新日と版 最終更新日と現在の版 初版作成中
管理情報 募集状態 募集中、保留、終了など現在の状態 確認中
案件内容 案件名 業務の対象と目的が分かる名称 仮称
案件内容 案件概要 背景、目的、対象システム 確認中
案件内容 業務内容 担当する作業と成果物 確認中
案件内容 担当工程 要件整理、設計、実装、テスト、運用など 確認中
案件内容 役割 メンバー、リーダーなど案件内の役割 確認中
スキル 必須スキル 提案に欠かせない技術と経験内容 確認中
スキル 尚可スキル 評価に加える技術と経験内容 設定なし、確認中
取引条件 商流 関係会社の並びと提案可能な所属範囲 不明、確認中
取引条件 契約形態 案件で予定する契約形態 確認中
取引条件 単価 提示額または範囲と前提条件 応相談、確認中
取引条件 精算幅 設定の有無と確定した範囲 設定なし、確認中
稼働条件 勤務地 主な就業場所 確認中
稼働条件 リモート 可否、頻度、出社条件 応相談、確認中
稼働条件 開始時期 参画を希望する時期 確認中
稼働条件 稼働時間 勤務時間やシフトなどの条件 確認中
募集条件 募集人数 募集している枠 確認中
募集条件 面談 回数、参加者、進め方 確認中
募集条件 制限事項 提案判断に必要な案件固有の条件 設定なし、確認中
連絡情報 連絡期限 質問や提案を受け付ける期限 確認中
連絡情報 確認先 条件を確認する担当窓口 確認中

すべての案件で同じ項目に値が入るとは限りません。

項目がないことと項目が未確定であることを分けると、確認の優先順位を付けられます。

商流と契約形態と単価を分けて書く

商流、契約形態、単価、精算幅は別の条件なので、一つの「契約条件」欄へまとめず個別に記載します。

それぞれの確認先と確定時期が異なるためです。

商流は会社の並びと制限を書く

商流には「一次請け」のような呼称だけでなく、どの会社を起点に数え、どの所属まで提案できるかを記載します。

会社名を開示できない段階でも、エンド企業、元請け、送信元、自社、所属会社の関係は確認できます。

元請けと一次請けの呼称だけで位置を断定しないようにします。

商流用語の数え方と確認質問は、次の記事で詳しく扱っています。

エンド・元請け・一次請けとは|SES商流の用語を図解

契約形態は業務上の指示と分ける

契約形態欄には確認済みの契約名称を記載しますが、名称だけで実際の業務運用を判断しません。

厚生労働省のガイドは、労働者派遣と請負の区分について、契約形式だけでなく業務遂行に関する指示や管理の実態を見る考え方を示しています。

案件票には契約形態とは別に、業務上の指示や管理を誰が担う予定かを確認できる補足欄を設けます。

個別案件の法的な区分は営業担当だけで断定せず、社内の契約や労務の確認先へつなぎます。

厚生労働省「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」について — 契約形式と業務遂行の実態を区分して確認するための公式資料です。

単価と精算幅は前提を添える

単価には提示額または範囲だけでなく、金額の単位や前提条件として確認できた内容を添えます。

精算幅には範囲だけでなく、設定なし、確認中、応相談のどの状態かを記載します。

過去案件や一般的な条件から値を補わず、案件担当から得た事実だけを案件票へ反映します。

コピペ用のSES案件票テンプレート

次のテンプレートは、角括弧内を案件ごとの事実へ置き換えて使います。

未確定項目も削除せず、確認中、応相談、不明、設定なしのいずれかへ置き換えてください。

【管理情報】
案件ID:[案件ID]
更新日:[更新日]
版:[版]
募集状態:[募集中・保留・終了・確認中]

【案件内容】
案件名:[案件名]
案件概要:[背景・目的・対象]
業務内容:[担当する作業・成果物]
担当工程:[担当工程]
役割:[案件内の役割]

【スキル】
必須スキル:
・[技術・対象・工程・経験内容]
・[技術・対象・工程・経験内容]

尚可スキル:
・[技術・対象・工程・経験内容]

【取引条件】
商流:[会社の並び・提案可能な所属範囲]
契約形態:[契約形態]
業務上の指示・管理主体:[確認済みの内容]
単価:[提示額または範囲・単位・前提]
精算幅:[範囲・設定なし・確認中・応相談]

【稼働条件】
勤務地:[勤務地]
リモート:[可否・頻度・出社条件]
開始時期:[開始時期]
稼働時間:[稼働時間・シフト条件]

【募集条件】
募集人数:[募集人数]
面談:[回数・参加者・進め方]
制限事項:[案件固有の条件・設定なし]

【連絡情報】
連絡期限:[期限]
確認先:[担当窓口]

【更新履歴】
[更新日]:[変更した項目と変更理由]

項目名と並び順は固定し、値だけを案件ごとに更新すると、別案件との比較や引き継ぎに使いやすくなります。

架空の案件票作成例

記入例では、業務内容、スキル、未確定項目、管理情報をどの粒度で書くかを確認します。

以下は書き方だけを示す架空例であり、実在する会社、案件、契約条件、実績、相場を示すものではありません。

【管理情報】
案件ID:[社内で採番]
更新日:[作成日]
版:初版
募集状態:募集中

【案件内容】
案件名:業務システム改修支援(架空例)
案件概要:既存の業務システムに対する機能追加と改修を行う案件です。
業務内容:Web APIの設計・実装・テストと関連資料の更新を担当します。
担当工程:設計、実装、テスト
役割:開発メンバー

【スキル】
必須スキル:
・Javaを使ったWeb APIの設計・実装経験
・Spring Bootを使った開発経験

尚可スキル:
・既存システムの調査と改修経験

【取引条件】
商流:確認中(関係会社の並びと提案可能な所属範囲を確認中)
契約形態:確認中(契約担当へ確認中)
業務上の指示・管理主体:確認中
単価:[案件ごとの提示額または範囲]
精算幅:応相談(条件提示後に調整)

【稼働条件】
勤務地:[案件ごとの勤務地]
リモート:一部リモート(出社頻度は確認中)
開始時期:[案件ごとの開始時期]
稼働時間:確認中

【募集条件】
募集人数:[案件ごとの募集人数]
面談:[案件ごとの面談条件]
制限事項:設定なし

【連絡情報】
連絡期限:[案件ごとの期限]
確認先:[案件担当窓口]

【更新履歴】
[作成日]:初版作成

この例では、単価、勤務地、開始時期、募集人数など案件ごとに異なる値をプレースホルダのまま示しています。

未確認の数値を具体例へ入れないことで、架空例が相場や推奨条件として読まれることを防ぎます。

未確定項目の状態を使い分ける

未確定項目は、確認先と進行状況に応じて「確認中」「応相談」「不明」「設定なし」を使い分けます。

同じ空欄へまとめないことで、営業担当の方が次に確認すべき項目を判断できます。

表記 使う状態 案件票での書き方
確認中 確認先があり回答を待っている 確認中(契約担当へ問い合わせ済み)
応相談 相手との調整で条件を決められる 応相談(希望条件を提示)
不明 現時点で情報も確認見込みもない 不明(提案前に確認が必要)
設定なし 条件がないことを確認できている 設定なし(案件担当へ確認済み)

「確認中」は時間が経てば自動的に確定する状態ではありません。

確認先、確認日、回答予定が分かる場合は補足し、回答を受けた時点で値と更新履歴を変更します。

不明な値を過去案件から推測して埋めないことが大切です。

案件IDと更新日と版を管理する

案件票には案件ID、更新日、版、募集状態、更新履歴を持たせ、どの情報が現在有効かを示します。

ファイル名だけに日付を入れる運用では、複数の写しが生まれたときに正本を判断できません。

案件IDで同一案件を追跡する

案件IDは案件名が変わっても同一案件を追跡するために使います。

更新メールや別の担当者から同じ案件が届いた場合も、同一案件と確認できれば同じ案件IDへ変更を追加します。

別案件として扱う条件は、案件内容、開始時期、募集枠など自社の判断基準として決めます。

更新日と版で現在の条件を示す

更新日には案件票を最後に変更した日を記載し、版には変更の順序を残します。

条件を修正したら更新履歴へ変更項目と理由を書き、古い案件票を見た営業担当の方も差分を確認できるようにします。

送信前に更新日と募集状態を確認すると、終了案件や変更前の条件を案内する誤りを防げます。

募集終了を状態として残す

募集が終了した案件票は削除せず、募集状態を終了へ変更します。

終了日と理由を残せば、過去の提案記録と案件票の関係を後から確認できます。

再開した場合は同じ案件の再開か別案件かを判断し、案件IDと更新履歴へ反映します。

Dot Linkで受信情報を検索できる形へ整理する

Dot Linkは受信した案件・人材メールを構造化し、検索やマッチングを支援します。

案件票の作成代行、契約形態の法的判定、提案や成約の保証をするものではありません。

受信メールの項目を構造化する

取引先から受信する案件メールは、案件票と同じ項目名や並び順で届くとは限りません。

Dot Linkはメール本文から商流、単価、スキル、稼働時期、勤務地などを項目として整理します。

記載がない情報を無理に確定せず、営業担当の方が元のメールと確認結果を見て判断します。

商流と単価を受信メールから扱う仕組みは、次の記事で説明しています。

商流・単価をメールから自動判定する方法|見落としを防ぐには

案件票の確定と更新は営業が担う

案件票の項目を確定し、変更内容を確認して更新するのは営業担当の方の役割です。

受信メールの構造化結果は下書き情報として参照し、契約条件や制限は案件担当へ確認します。

自動で整理した情報と人が確認した情報を区別することで、検索のしやすさと判断の責任を両立できます。

再利用できる案件票は項目と状態をそろえる

再利用できる案件票は、案件内容、スキル、取引条件、稼働条件を固定の順序で並べ、各項目の状態と更新履歴を残します。

情報量を増やすより、誰が読んでも同じ条件を確認できることを優先してください。

まずはコピペ用テンプレートへ現在の案件を一つ入力し、空欄を確認中、応相談、不明、設定なしへ置き換えます。

受信した案件・人材メールも検索やマッチングに使える項目へ整理したい場合は、Dot Linkで構造化を試せます。

案件情報を再利用できる形へ整理する

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よくある質問

案件票を実務で使うときに迷いやすい未確定項目、複数ポジション、条件変更の扱いを整理します。

未確定項目があるSES案件票を共有してもよいですか?

共有できますが、未確定項目を空欄のままにせず、現在の状態と確認予定を明記してください。

確認先へ問い合わせ済みなら「確認中」、相手との調整余地があるなら「応相談」、情報も確認見込みもなければ「不明」、条件が存在しないことを確認できたなら「設定なし」と分けます。

共有先には、どの項目を確定条件として使えるか、どの項目は提案前に回答を待つ必要があるかを伝えます。

回答を得たら更新日、版、更新履歴を変更し、古い写しを参照している相手にも変更箇所を知らせてください。

複数ポジションを一つのSES案件票に書けますか?

共通条件とポジション別条件を明確に分けられる場合は一つにまとめられますが、提案判断が異なるなら案件票を分けるほうが安全です。

同じ案件でも役割、担当工程、必須スキル、単価、募集人数、面談条件が異なると、一つの欄ではどの条件がどのポジションに適用されるか分からなくなります。

まとめる場合は共通の案件IDにポジションIDを追加し、共通欄とポジション別欄を分けてください。

条件変更時も対象ポジションを明記し、他の募集枠まで変更されたように見えない更新履歴を残します。

送付後にSES案件票の条件が変わったらどうしますか?

案件票の更新日と版を変更し、更新履歴へ変更前後の条件と変更理由を残したうえで、送付先へ改訂版を共有します。

単価、商流、勤務地、開始時期など提案判断に影響する項目は、差分だけでなく現在の案件票全体も確認できる形にしてください。

募集終了や保留も募集状態として更新し、古い版だけを見た相手が提案を続けないようにします。

すでに候補者の提案や面談が進んでいる場合は、条件変更がその提案へ与える影響を案件担当へ確認し、対象者ごとに必要な連絡を行います。

参照リンク

本文では、役割とスキルの整理および契約形式と業務運用の確認について、次の公式一次情報を参照しました。

IPA「デジタルスキル標準(DSS)策定の背景・目的」 — 役割と習得すべきスキルを整理する公式枠組みです。

厚生労働省「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」について — 契約形式と業務遂行の実態を区分して確認するための公式資料です。